こんにちは、三年の諏訪部です。近況報告はほかの部員がたくさんしてくれているので、今回はこんな機会でもない限り書かないような内容のブログを書いてみようと思います。テーマは一橋の数学科目です。
私は中学・高校生の時に数学が大の苦手で、高校三年生の時に一橋大を受験した際には、シグマの公式を間違えたり、絶対値を外せなかったり、座標の成分が虚数になったり、ととんでもないミスを連発してしまったのですが、浪人生の時に必死に勉強して数学を得意科目にし、大学に入学したときには数学がむしろ好きになっていたことから、一年生の時から積極的に数学系の科目を履修してきました。以下がその一覧です。
<一年時>
微分積分Ⅰ
<二年時>
微分積分Ⅱ、線形代数Ⅰ、確率、統計、代数学Ⅰ
<三年時>
線形代数Ⅱ、現象数理、集合と位相、微分積分演習
合計すると20単位分で、英語や第二外国語などの必修科目や法学部科目以外では、私が取得した単位はほぼすべて上記の数学系のものです。上の科目の成績が出ているもののGPAを計算してみると3.95で、私のGPAの向上に大きく貢献してくれています。これら以外にも物理学基礎や経済学入門などの数学が登場する授業を履修していて(数学が全く登場しなかったのは卒業要件を満たすために渋々履修した2単位の社会学部科目だけでした)、法学部の履修モデルとしてはかなり珍しいほうだと思います。実際に、試験を受けに行くと商・経以外の学生が私だけだったということもありましたし、数学科目の単位数は同学年の経済学部の友人よりも多いです。
数学科目は忌避されがちですが、授業をちゃんと聞いていれば、もしくは自分で勉強できれば、少なくとも上の科目の単位は一部を除いてしっかりとれると思います。図書館にある教科書・参考書が豊富で勉強もしやすいので、単位難民の人にもお勧めしたいです。
しかし、先ほど「一部を除いて」と書きましたが、履修してきた数学科目の中で大変だったものが二つありました。課題量が膨大だったとか単位認定が厳しかったとかではなく、純粋に授業内容が難解だったものです。入部以来「集合と位相が難しい」という声を柔道部でたびたび聞いてきたのですが、これら二つの授業の単位を取り終えた後に集合と位相を履修してみると、これらよりもはるかにわかりやすい授業でした。ちなみに、これら二つは経済学部科目なのですが、両方とも経済学の名を騙ったゴリゴリの数学で、どちらの教授も数学の博士過程の出身でしたし、どちらの教授も「この授業の内容が文系の学生に役立つことは無い」と言っていました。 なぜ一橋で開講しているのでしょうか。
一つ目は「代数学Ⅰ」です。主に群論について学ぶ授業でした。試験前に試験問題をほぼすべて公開し、そのうえで「答えが分からないときでも白紙はやめてください。定義とか性質とか何か知っていることを書いてくれさえすればこちらで加点ができます。」と言ってくるような教授であったため単位を取ること自体はそれほど難しくなかったのですが、約50ページある当時のノートを見返すと呪文のような文字の羅列が見られます。後半はこんな感じでした。
ただ、決して退屈だったわけではなく、例えば「五次以上の方程式に解の公式が存在しない」ことの証明を少しだけ扱ったのですが、その証明に群論を使うことに驚いた記憶がありますし、元の数が素数ならばその群は巡回群で、素数の二乗ならば可換群である、といったように素数がちょくちょく出現する(上のノートでも見られます)など、興味深いと感じることが多かったです。続きの科目である代数学Ⅱをまだ履修できていないので、来年度に余裕があれば履修してみたいです。
上記の通り教授が何とか単位を与えようとしてくるため、Cでもいいからとにかく単位が欲しいという人には経済学部生以外でもお勧めします。ただし、「秋学期の3限」に時間割が設定されているため、出席には体力と精神力が要求されます。一年生はまだ意味がわからないと思いますが、今年中にきっとわかります。
二つ目は「現象数理」です。常微分方程式について学ぶ授業で、シラバスを見て面白そうだと思い履修をし、実際に最初の授業では人口増加モデルやばねの運動などの具体的な方程式が取り上げられて私もどうやら面白い授業のようでよかったと思っていたのですが、そのような具体的な方程式について扱うのは最初の二回ほどで終わり、あとは方程式を一般化して抽象的な内容をひたすら学ぶものでした。微分積分や線形代数の知識を前提として授業はズンズン進められ、最後の方には次から次へと新概念が出てきて参ってしまいました。おそらくですが、数学科の学生が勉強する内容だと思われます。
オンライン授業ゆえに試験がレポートで行われたため、何度もノートや講義動画を見返して問題にじっくり取り組むことで単位を取得できたものの、例年の教場試験であればまず無理でした。個人的に、法学部科目を含めても大学の授業の中で断トツで一番難しい授業でした。難しすぎて代数学Ⅰのようにこれは興味深いなと感じることもほとんどなく終わってしまったため、記憶にもあまり残っていません。最後の授業で運動する振り子の最終的な挙動についての微分方程式の平衡点の安定性を用いた説明があり、具体的なイメージができる話は久々だと思って張り切って聞いたのですが、結局最後は置いて行かれてしまいました。高校生の時にはじめて漸化式を学んだ時のような懐かしい感覚でした。
以上長々と書いてきましたが、基本的に一橋の数学科目は難しすぎるというようなことはなく、何より内容が面白いものが多いと思います。このブログを読んだ後輩、そして未来の柔道部部員はぜひ履修を組む際に選択肢として考えてみてください。また、これら以外にも数学科目はあるので、私自身、面白そうな授業をまだまだ履修してみたいと思っています。卒業に必要なだけの単位はゼミの単位以外はおそらく取り終わっているので、来年度は自分の取りたい授業だけを取っていくつもりです。
オチがなく恐縮ですが、このあたりで失礼します。
三年 諏訪部