一橋大学柔道部

魂魄留道場~東京国立・有備館より~

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柔道部に入部して(歴史編1)

「柔道部に入部して」歴史編として、歴代柔道部員が綴った「入部の経緯」や「入部後の感想」をご紹介いたします。
一橋柔道部入部をご検討中の皆様に、参考にしていただければと思います。

(アメリカンフットボールから柔道に転向して)   K.W(OB 法学部2年時に執筆)

 私は高校時代知る人ぞ知る(知らない人は誰も知らない)アメリカンフットボールプレイヤーであり、大学に入っても花形スポーツと言われるアメリカンフットボールを続けるつもりでおりました。しかし入学手続き時にたまたま柔道部の 先輩に声をかけられ、一橋の柔道というのは強豪チームではないけれども、明治時代からの伝統があり、指導者がオリンピックメダリストという話を聞き、また部室には身体が伸ばせる広い風呂があり、四年間部費ゼロという恵まれた環境だということも気になったので、一度見に行ってみようと思いました。とは言ってもこの段階では、柔道は競技人口が多いスポーツであるし幼少時から経験した人たちが大学でもやるのだろう、高校の授業で少しかじっただけの自分が通用するはずがない、ただ一度その偉い先生というのを見てみるだけだと思い、ある日国立東校舎の柔道場を訪れたのです。

 そこにいらした野瀬清喜師範(講道館八段、埼玉大教)は、ロサンゼルスオリンピック銅メダリスト、マーストリヒト世界選手権銀メダリストであり、指導者としては全日本女子のヘッドコーチとしてあの T.亮子 ら数々の金メダリストを育てあげた、世界的にも柔道界の最高峰にいらっしゃるものすごい経歴の先生だとわかり、聞いてはいたものの私はやはり仰天してしまいました。先輩方が笑いながらおっしゃった「まあ中学校の社会をクルーグマンやスティグリッツが教えているようなものだな」という自虐的な例えを、失礼ながらその通りだと思ってしまいました。先輩の繰り広げる激しい稽古風景にも気おされて、私は「ここは自分のような門外漢が来てはいけないところでは」と感じ、早々に立ち去ろうと思いました。ところがなんとその野瀬先生が私のところにいらして、「君はアメフトやってたのか。ポジションはどこだ」と声をかけて下さったのです。「うん、WRか。WRやってた選手はな、飛び込むタイミングをつかむのがうまいんだ。だから捨身技が上手くなる。強くなるぞ」とお声かけいただいて、全然意味がわからないながらもこれは大変な名誉ではあるまいかと考え始めてしまったのです。

 その後アメリカンフットボール部にも見学に行き、経験者ということで熱烈な勧誘を頂きました。もしアメリカンフットボール部に入部していたら、それは私にとっては安心感のある、心の落ち着く場所になっていたことでしょう。関東一部という華々しい舞台で、相応の活躍、相応の満足感を得られたかもしれません。しかし、私はオリンピックメダリストに一瞬でも気にかけていただけたことが心に引っかかり、そのまま素直にアメリカンフットボール部に入る気持ちにはなれなかったのです。また少人数ながら全員が常に試合に出場し、一橋の名誉をかけて総力戦で団体戦に臨むという柔道部の話とは対称的に、大量に新人が入部しながら試合で活躍できる者は限られており、辞めていく者も少なくないという話、道具類一式だけで数十万円はかかるという話にも、ある程度予想はしていたものの若干の抵抗感が拭えなかったことは正直に告白いたさねばなりますまい。

 そうしてどっちつかずのまま数日が経過したとき、更なる衝撃が私を襲いました。先日見学した柔道部の部員のうち、なんと半数が大学入学後に柔道を始めた初心者であり、先生方の超一流の指導と100年以上続く伝統の寝技技術により中高からの経験者に追いつくほど強くなった選手だというのです。先日私を誘って下さったF先輩も、高校時代まではトロンボーンを吹いていた気弱な青年だったのさと照れくさそうに告白してくれましたが、私から見ればこの人は小柄ながら引き締まったたくましい体をされていて、もう十年くらい柔道やっているのではないかという風格を帯びているのです。そして、「一橋で4年間必死で柔道やれば、まあインターハイにやっと出たくらいの選手には負けなくなるよ。勝てなくても、引分けはできるようになる。」とこともなげにおっしゃるのです。

 そして更に、「そりゃ強くはなる。しかし柔道にはどこまで行っても上がいる。強い人は本当に強い。トップレベルの選手には、武器を持っても勝てないよ(笑)。軽々しく日本一などと口にできるような競技じゃないからね。ただ、僕らは柔道があまりにも高い山であることを幸せだと思う。容易に一部だの全日本だのと口にできる安直な道は選ばず、僕らは「マイッタ無し」を貫きたい。つまりどんな大きな困難であっても絶対に逃げない人間になる為に、そうして将来日本を良くする力となる為に、一橋で柔道をやっているんだ。」

 私は思わず、このようなことを口にできる人間になりたいと思ってしまいました。一橋に入って、柔道部と出会ったことを、運命的だと感じました。

 そして今日、私は相変わらず下手な打込みを優しく直して頂きながら、寝技では先輩の腹の下で息もできないほどコテンパンにやられながら、そして稽古後には偉大な先生方先輩方と親しくビールを傾け明日の稽古と明日の日本について熱く語りながら、一橋柔道部100年の系譜に名を連ね、世界に広がる野瀬門下の末席を汚しております。早く自分より弱い新弟子が入ってこないかな、と心待ちにしながら(笑)。 (完)
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